人が幸せになるために必要なことって、なんだと思いますか?
アドラー心理学では、幸福になるために必要なことは共同体感覚を得ること、と教えています。
今回は、まず始めに、この共同体感覚について説明します。
その後、共同体感覚を得るために大事なものと、お子さんが共同体感覚を持てるために、親が心がけるべきことをご紹介致します。
お子さんも、いずれ大きくなり、親元を離れて行きます。
その時に、お子さんが、社会とかかわるうえで大切なものが、この共同体感覚です。
一緒に見て行きましょう。
目次
共同体感覚は対人関係のゴール
アドラー心理学では「すべての悩みは対人関係の悩みである」としていました。
悩みを解決するものとして「共同体感覚」を「対人関係のゴール」と呼び、「共同体感覚とは、幸福なる対人関係のあり方を考える、もっとも重要な指標」と教えています。
この共同体感覚とは、どのようなものでしょうか?
共同体感覚とは、ここにいてもいいんだという所属感
アドラー心理学では、共同体感覚とは、他者を仲間だとみなし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることとしています。
もう少し簡単に説明すると、
「ここにいてもいいんだという所属感」
それが共同体感覚です。
同時に、アドラー心理学では、「所属感とは、ただそこにいるだけで得られるもではなく、共同体に対して、自らが積極的にかかわることによって、自らの手で獲得してゆくもの」とも教えています。
共同体に対して積極的にかかわるために必要なもの
アドラー心理学では、共同体に対して積極的にかかわるために必要なものは、
- 自己受容
- 他者信頼
- 他者貢献
の3つであると教えています。1つずつ見て行きましょう。
自己受容
自己受容とは、できない自分をありのままに受け入れて、できるようになるべく、前に進んで行くことです。
たとえば、テストで60点しか取れなかった時に、「60点しかとれなかった」事実を受け入れ、「100点に近づくためにどうしたら良いか」と考える。
変えられるものと、変えられないものを見極め、変えられるものに注力し、努力して行く。
これが自己受容です。
他者信頼
他者信頼とは、他者を信じるにあたって、いっさいの条件をつけず、無条件に信じることを言います。
信頼することを恐れていたら、結局は誰とも深い関係を築けませんよね。
もちろん、無条件に信頼して裏切られたら傷つきます。でも、裏切るか、裏切らないかは、他人が決めることであって、自分は決められません。
相手が、裏切るか裏切らないかは相手に委ね、自分は、この人を無条件に信じる。
それが他者信頼です。
他者貢献
他者貢献とは、自己受容と他者信頼をそなえたうえで、仲間である他者に対して、なんらかの働きかけをしてゆくことです。
その時に、他者からの評価や、他者が自分に何をしてくれるかではなく、自分が他者に何ができるかを考えて実践して行くことが大事です。
3つが合わさることで共同体感覚を得られる
これらは、共同体感覚を得るうえで、どれひとつとして欠かすことが出来ません。
なぜならば、
- ありのままの自分を受け入れる(自己受容)ことで、
- 裏切りを恐れることなく他者信頼することができ、
- 他者を仲間ととらえていることで、他者貢献したいとする気持ちになり、
- 他者に貢献することで「私は誰かの役にたっている」と共同体感覚を実感でき、
- その実感が更なる自己受容に繋がる
というプロセスをたどるからです。
親がすべきたった1つのことは?
お子さんが、自己受容、他者信頼、他者貢献を身につけ、共同体感覚を得るために、親は、子育てで何をすべきでしょうか?
それは「勇気づけ」です。
「縦の関係」でなく「横の関係」を築こう
アドラー心理学では「ほめる」という行為には「叱る」ことと同じ作用があると考えます。
親が、子供をほめたり、しかったりする背後には、親の判断基準で子供を評価して、子供を自分の判断基準に従わせよう、操作しようという意識が隠れています。
これは対人関係を「縦の関係」でとらえていることに他なりません。
アドラー心理学では、あらゆる「縦の関係」を否定し、すべての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。
「勇気づけ」というアプローチ
「縦の関係」に対し「横の関係」とは「同じではないけれど対等」な関係を築くことです。
あなたは、対等なパートナーが仕事を手伝ってくれたとき、なんと声をかけますか?
「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えたり、「助かったよ」とお礼を言いますよね。
「勇気づけ」とは、他者に対し、感謝や尊敬、喜びの言葉をかけるアプローチです。
具体的には、子供に対し、対等の関係(=横の関係)を築いたうえで「ありがとう」や「うれしい」等といった感謝や喜びを伝えるものです。
人は、感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知る。
人は「わたしは共同体にとって有益なのだ」と思えた時にこそ自らの価値を実感できる。
人は、自分には価値があると思えたときだけ、勇気を持てる。
これにより、お子さんが共同体に積極的に働きかけて行く勇気を持てるようになり、共同体感覚を得られるようになるのです。
まとめ
ここまでご覧くださり、ありがとうございます。今回の記事では、
- 共同体感覚とは「ここにいてもいいんだという所属感」であること。
- 共同体感覚とは、自己受容、他者信頼、他者貢献の考え方を持ち、共同体に積極的にかかわることで得られること。
- 「横の関係」に基づく「勇気づけ」により、子供が、自己受容、他者信頼、他者貢献の考え方を持ち、共同体に積極的に関わって行けること。
をご説明しました。
勇気づけにより、お子さんが共同体感覚を得てくれるようになれば素晴らしいですね。