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アドラー心理学

アイ・メッセージを伝える時に心掛けるべき3つのこと│アドラー心理学による子育て

「早くしなさい」
「何度同じこと言わせるの」
「明日の準備はできているの」

何度も何度も子どにも同じことを伝えているけれども、全然言うことを聞いてくれない、行動が改善されない。逆に、子供が反発したりして関係が悪くなるばかり…

こんな風にストレスをためている方は多いのではないでしょうか。
今回は、子供とのスムーズなコミュニケーションを可能にするアイ・メッセージをご紹介します。

目次

アイ・メッセージとは何か?

アイ・メッセージとは、アメリカの臨床心理学者トーマス・ゴードン博士が、1962年にParent Effectiveness Training という親を対象にした教育プログラムの中で提唱したコミュニケーション手法で、その後、日本でも1998年に「親業」という本として出版され、広く知られるようになりました。

アイ・メッセージは、文字通り、相手になにかを伝えるときに、アイ(I)=私を主語にするものです。自分の感情を相手に伝えるだけで、それに応じた判断は相手に委ねることが特徴で、相手を尊重したコミュニケーションと言えます。

このアイ・メッセージは、アドラー心理学と、とても親和性が高いとされています。

アドラー心理学では、全ての対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと、あるいは自分の課題に土足で踏み込まれることによって引き起こされる(「課題の分離」)と説明していましたね。

このアイ・メッセージは、自分の感情を伝えるのみで、その判断や行動は、相手に委ねている点で、課題の分離が出来ているコミュニケーションと言えると思います。

ユー・メッセージとは何か?

このアイ・メッセージの反対は、ユー・メッセージと呼ばれるものです。

「早くしなさい」
「何度同じこと言わせるの」
「明日の準備はできているの」

これらのユー(You)=あなたを主語となるようなメッセージをユー・メッセージと呼びます。

このメッセージを使う時は、たいていの場合、子供を非難したり、コントロールしたいという考えかたが背景にあります。

このメッセージを多用すると、子供が、親の狙いを敏感に感じとり、ありのままの自分の存在が認められないこと察知し、自己受容感を育てづらくなります。

また、ユー・メッセージに対して、子供が素直に聞いたりする場合でも、自ら主体的に考えて行動するというよりも、聞かなかったら悪いことがおきるから仕方なく行動するという具合になりがちで、子供の消極的なスタンスを助長する懸念もあります。

アドラー心理学では、あらゆる人間関係を「縦の関係」でなく、「横の関係」にするように推奨していましたが、ユー・メッセージは、「縦の関係」にもとづくコミュニケーションの典型と言えそうです。

アイ・メッセージを使うときに心がけるべき3つのこと

では、このアイ・メッセージを行うときに心がけるべきことはなんでしょうか。

  • 偽のアイ・メッセージにならないように心がける。
  • 感情をぶつけるためだけのアイ・メッセージを避ける。
  • 指示を付け加えるのを避ける。

偽のアイ・メッセージにならないように心がける

「私」を主語にしてコミュニケ―ションを取れば、なんでもアイ・メッセージになるというのは誤解です。

例えば、子供に対し、「私は、あなたが自分のやるべきやっていない、と思うよ」というようなケースですが、これは,相手の避難するメッセージに「私は・・・思う」と添えただけでの、かたちを変えたユー・メッセージに過ぎません。

感情をぶつけるためだけのアイ・メッセージを避ける

子どもの行動を、ただ気に入らないからと,感情をぶつけるだけでもいけません。例えば、子供が勉強をしないことをだけを取り、「勉強をしない子は嫌い」と伝えても、相手に対し説得力はありません。

アイ・メッセージには3つの要素を入れることが大事だと言われています。

  • 子どもの「行動」を事実に基づき描写すること。
  • その子どもの「行動」から生じる具体的な「影響」とは何かを伝えること。
  • その「影響」が、私に抱かせる「感情」を伝えること。

例えば、片付けが出来ない子供に対しては、

  • 「かたずけができていないで散らかっていると」(行動)
  • 「掃除がやり難かったり、けがをしたりする可能性がある」(影響)
  • 「私は、掃除がやりにくかったり、足をぶつける心配から、イライラしてしまう」(感情)

という風に語りかけると効果的です。

指示を付け加えることを避ける

「掃除がやりにかったり、足をぶつけたりして、イライラしちゃうのよ」のあとに,「だから今すぐ片づけてね」といった具合に指示を付け加えてしまうと、子どもが自分で考え,判断する機会を奪ってしまいます。

判断・行動は、些細なことであれ相手に委ねる必要があることを忘れてはいけません。

まとめ

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

今回の記事では、アドラー心理学とも親和性が高い、アイ・メッセージについてご紹介しました。アイ・メッセージとは、「私」を主語にすることで、相手を非難することなく、行動をうながすことが出来るというものでした。

その際に、以下の3つを心掛けるようにしましょう。

  • 偽のアイ・メッセージにならないように心がける。
  • 感情をぶつけるためだけのアイ・メッセージを避ける。
  • 指示を付け加えることを避ける。

子供の「行動」を描写し、それによる具体的な「影響」を伝え、そこに私の「感情」を加えることに留意するだけで、落ち着いたコミュニケ―ションが取れると思います。

特に、反抗期のお子さんに対して、とても有効な方法となりますので、是非、試してみてください。