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アドラー心理学による子育て│高校生の事例で大切な2つのこと

日本では、高校生にあたる16-18歳ころは、心理社会的発達理論でいう「青年期」の後期にあたります。

この心理社会的発達理論とは、アメリカの心理学者であるエリク・H・エリクソン(1902-1994)により提唱されたもので、この中で、エリクソンは「人間の心理は、周囲の人々との相互作用を通して成長する」と教えています。

そのうえで、各発達段階に「心理社会的危機」があるとしており、この「心理社会的危機」を乗り越えることで「」を獲得するとしています。

今回の記事では、青年期 後期にあたる高校生が抱える問題と、それに対するアドラー心理学を活かした対応方法についてご紹介します。

目次

高校生の抱える課題・悩みとは?

心理社会的発達論からみた高校生の抱える課題

心理社会的発達論からは、12-18歳までを広く「青年期」として取り扱っています。
この段階における心理社会的危機は「アイデンティティ対アイデンティティの混乱」とされています。

アイデンティティとは「自分は何者なのか」という概念ですが、青年期にアイデンティティが確立できると、自分で選んだ価値観を信じ、社会に対して貢献して行こうという気持ちを持つことができるようになります。

一方で、アイデンティティの確立に失敗すれば、「自分は何者なのか」ということに悩み続け、社会に対して積極的に対峙することができません。

文科省による「この段階の特徴と重視すべき課題」

文部科学省(文科省)は、HPにて「子供の発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」をまとめていて、高校生を「青年中期」として次のようにまとめています。

親の保護のもとから、社会へ参画し貢献する、自立した大人となるための最終的な移行時期である。思春期の混乱から脱しつつ、大人の社会を展望するようになり、大人の社会でどのように生きるのかという課題に対して、真剣に模索する時期である。

現在、我が国では、この時期が、こうした大人社会の直前の準備時期であるにもかかわらず、自らの将来を真剣に考えることを放棄したり、目の前の楽しさだけを追い求める刹那主義的な傾向の若者が増加している。さらには、特定の仲間の集団の中では濃密な人間関係を持つが、集団の外の人に対しては無関心となり、さらには、社会や公共に対する意識・関心の低下といった指摘がある。

これらを踏まえて、青年中期の子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。

  • 人間としての在り方生き方を踏まえ、自らの個性・適性を伸ばしつつ、生き方について考え、主体的な選択と進路の決定
  • 他者の善意や支えへの感謝の気持ちとそれにこたえること
  • 社会の一員としての自覚を持った行動

ここで指摘されている「自らの将来を真剣に考えることを放棄」したり、「刹那主義的な若者」とは、心理社会的発達論でいうアイデンティティの確立に失敗して、社会に対して積極的に対峙できないという状況に他なりません。

アドラー心理学を活かした高校生への応用事例

アドラー心理学では「共同体感覚」という概念を提唱しています。
この共同体感覚とは、「他者を仲間だと見做し、そこに「自分の居場所がある」と感じ、仲間に対して貢献したい」という感覚です。

この共同体感覚を得られた状態こそ、アイデンティティが確立された状態に近いということができますね。

では、高校生が共同体感覚を持つために、親はどのように接するべきなのでしょうか。

高校生が共同体感覚を掴むうえで大切なこと

高校生が共同体感覚を掴むために、親はどのようなことに気をつけるべきでしょうか?
アドラー心理学では「横の関係」による「勇気づけ」が大切であると教えています

「横の関係」を築く

親子の関係では、子育ての場面において、叱って育てる方法と、ほめて育てる方法が一般的です。
でも、「ほめる」という行為には、「能力のある人が、能力のない人に下す評価」という側面があります。

この背景には、子供のほめたり叱ったり、いわばアメとムチをつかうことで、子供を操作したいという狙いが隠れています。

アドラー心理学では、このような、ほめたり叱ったりといった賞罰教育を強く否定し、すべての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。

高校生を苦しめる「劣等感」などは、縦の関係から生じてくる意識ですが、親子の間で、率先して横の関係を築くことで、他者とも同じように横の関係を築くことができ、劣等コンプレックスが生まれる余地はなくなります。

「勇気づけ」を行う

「勇気づけ」とは、相手が「自分には価値がある」と感じられるようにするものです。

この時に大切なことは相手を「評価しない」ということです。評価の言葉とは、「縦の関係」から出てくる言葉に他なりません。「横の関係」からは、素直な感謝や尊敬や喜びの言葉がでてきます。

人は感謝の言葉を聞いた時に、自らが他者に貢献できたことを知ります。
特に高校生くらいになれば、既に自我が確立されつつありますので、「縦の関係」から評価を下してしまえば反発を招いたりすることもあるでしょう。

そんな時でも「横の関係」から、子供の存在に感謝の言葉をかけることで、子供は勇気を持ち、「自分は共同体にとって有益なのだ」と、共同体感覚を持つことができるのです。

まとめ

ここまでご覧くださり、ありがとうございます。
今回の記事では、高校生のお子さんを持つあなたに、以下の点についてご紹介しました。

お子さんも高校生ともなれば立派な大人です。
ぜひとも「横の関係」を構築して、素敵な関係を築いてください。
きっとお子さんが勇気をもって積極的に社会に関わって行くことができると思います。

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