アドラー心理学における重要ポイントである「課題の分離」。
「自分の課題」と「他者の課題」の2つに分けて考えることで、
余計な課題に悩まなくても良くなり、自分のやるべき課題に集中できます。
しかし、小さな子供が相手の場合、
目の前の課題について、「自分の課題」なのか「他者の課題」なのかを見極めるのって、
けっこう難しいと感じませんか?
目次
「課題の分離」のポイント
「課題の分離」のポイントをおさらいしておきますと、
最終的に困るのは誰なのかを考えることです。
「課題の分離」については、こちらも参考にしてください♪
アドラー心理学の人気本『嫌われる勇気』に、こんなことわざが登場します。
「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」
子供を水辺に連れていくことは「自分(親)の課題」、
水を飲むか飲まないかは「他者(子供)の課題」です。
もし子供が水を飲まなくて、「他者(子供)の課題」について親が悩んでも仕方ない。
後から喉が渇いても、それは飲まないと選択したのは子供なのです。
親が頭を悩ませる代表である、子供の教育。
ことわざの「水」を「教育」に替えてみましょう。
子供に教育する機会を与える(小学校からは義務教育ですが)のは「自分(親)の課題」。
教育を受けるかどうかは「他者(子供)の課題」。
受けた教育を自分のモノにするかどうかは子供の課題になる訳です。
ここまでなら、最終的に困るのは子供ですね。
乳幼児の「課題の分離」のポイント
しかし、もし「水」の場合、水分補給を怠ったことが原因で体調不良になったら…
困るのは子供?
それとも親でしょうか?
つらい思いをするのは間違いなく子供です。
しかし、その責任は子供にあるのでしょうか?
小さい子供の場合は、強制はできなくとも、いかに水を飲む気分にさせるかまでが「自分(親)の課題」になりそうです。
赤ちゃん(0才~1才6ヶ月頃)の場合
赤ちゃんのお世話は、すべて「自分(親)の課題」と言えるでしょう。
この頃は、赤ちゃんが信頼感を得る時期といわれています。
赤ちゃんの不快・不安を親が取り除いてあげることで、信頼感が生まれるそうです。
赤ちゃんは泣いて知らせることしかできません。
「お腹が空いた~!!」と泣いたとき、それに対して親が世話をしてくれることが繰り返されて、赤ちゃんが安心・信頼してくれるということですね。
幼児(1才6ヶ月~3才頃)の場合
「やってみたい!」を育てよう
赤ちゃんから子供へと、大きく成長してきます。
この頃は、自律性を身に着ける時期といわれています。
簡単にいうと、子供自身が「やってみたい!」という意欲のことです。
「あーん」じゃなくて自分で食べるようになったり、
ひとりで靴下を履けるようになったり…。
「ママにやって欲しい」と言ってくること、もちろんあります。
そんな中で、まずは子供が「やってみたい!」と思うことが第一歩ですよね。
身の回りの事や、大ケガしない程度のことは、「他者(子供)の課題」です。
なんでもやってあげるのではなく、「やってみたい」という子供の意欲を尊重すること、失敗しても、また挑戦する気持を持てるようにサポートすることも「自分(親)の課題」になりそうです。
大きな危険を排除することも親の課題ですね。
少しくらいの失敗ならば、それを経験したことで、次は気を付けるよう促すのがアドラー式ですが。
私は「走ると転ぶよ!」とか、ついつい言ってしまっていました。
でも、いくら注意したって、子供は転ぶものですよね。
「第3の課題」とは!?
「自分の課題」と「他者の課題」のほかに、もうひとつ。
3才頃までの子供が相手の場合は「共同の課題」に分けることをおすすめしたいと思います!
子供の「やってみたい」を尊重したいけど、ちょっと無理かな…。
また、親として子供にやって欲しいけど、振り向いてもらえない…。
こんなことありますよね。
大きい子向けの遊具を使ってみたい時の「一緒にやってみよう」や、
どうしても部屋を片付けたい時の「一緒に片付けよう」などです。
お手本を見せる意味でも、やってみせることってあると思います。
子供ひとりでは難しい課題があれば、親子共通の「共同の課題」として一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
イヤイヤ期の「課題の分離」はたいへん!
この頃はいわゆるイヤイヤ期!
2才は特に魔の2才なんていいますね。
車に乗るのもイヤ。
食事をするのもイヤ。
何を提案してもイヤイヤ!!!
ちょっと乱暴ですが…。
ほとんどの健康な子供は、1食くらい食べなくても大丈夫なので、
これは「他者(子供)の課題」として分離してしまいましょう。
しかしその後、食器の片付けが終わった後に言ってきます。
「お腹すいちゃった」
そんなときの為に、食事を用意しておくべきか。
食べない選択をしたのは子供なので「今度は食べようね」といって寝かせるべきか。
…正解は無いと思います。
正直、夜中に空腹で大泣きされると、近隣が気になってむしろ親の方が困ってしまうことも…。
我が家では食べさせる時と食べさせない時と、半々くらいでした。
おにぎりがある時はあるし、無い時は無いんです!
まとめ
- 子供の「やってみたい!」という意欲を育てよう!
- 「共同の課題」に対して親子一緒に取り組もう!
- イヤイヤ期は無理せずに「課題の分離」をして乗り切ろう!
今回は、幼児とはいっても年齢を3才までで区切らせていただきました。
3才になると幼稚園・保育園に通う子供も増えてきて、集団生活や教育が始まってきます。
先生やお友達といった家族以外の人と関り、生活が変化したことで、
「課題」の内容もいろいろと変化・増加していくことと思います。
それ以前の3才は、家庭での人間関係がほぼすべてです。
「課題の分離」ができるところは分離して、できないところは無理せずに。
子育ての悩みを少しでも軽くしていきましょう!