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アドラー心理学による子育て│中学生の不適切な行動への対応事例5つ

発達心理学者であるエリク・H・エリクソンの発達心理学では、12-18歳頃を「青年期」と位置づけています。

この時期の発達課題は、「アイデンティティー」とされ、それに対する危機(=発達課題を獲得するまでの障害)は、「アイデンティティーの混乱」とされています。

日本では、13-15歳の中学生は、この青年期の前段にあたりますが、一般的に、この時期は思春期の始まりと言われ、子供との接し方に迷ってしまう親も多いと思われます。

今回の記事では、中学生の子供との接し方に悩むあなたに、アドラー心理学を活かした子供との接し方と、子供が不適切な行動をおこした場合の対応について紹介したいと思います。

目次

中学生の特徴と重視すべき課題

文部科学省は、「子供の発達課題ごとの特徴と重視すべき課題」の中で、青年前期(中学生)について、以下の様に説明しています。

中学生になるこの時期は、思春期に入り、親や友達と異なる自分独自の内面の世界があることに気づきはじめるとともに、自意識と客観的事実との違いに悩み、様々な葛藤(かつとう)の中で、自らの生き方を模索しはじめる時期である。また、大人との関係よりも、友人関係に自らへの強い意味を見いだす。さらに、親に対する反抗期を迎えたり、親子のコミュニケーションが不足しがちな時期でもあり、思春期特有の課題が現れる。また、仲間同士の評価を強く意識する反面、他者との交流に消極的な傾向も見られる。性意識が高まり、異性への興味関心も高まる時期でもある。

○ 現在の我が国においては、生徒指導に関する問題行動などが表出しやすいのが、思春期を迎えるこの時期の特徴であり、また、不登校の子どもの割合が大幅に増加する傾向や、さらには、青年期すべてに共通する引きこもりの増加といった傾向などが見られる。文部科学省HP https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/gaiyou/attach/1286156.htm より引用

思春期に入ると、子供が、親の言うことに耳を貸さなくなり、口ごたえをしたりと反抗的になることが一般的です。

その結果、子供との会話が減り、子どもが一体何を考えているのかわからなくなってしまったということは非常に多くあります。

この時期の接し方の注意点を見て行きましょう。

横の関係を築く

アドラー心理学では、子供に対し「縦の関係」でなく「横の関係」で接することをすすめています。

つまり、子どもを子供扱いせず、親と対等な存在として接するということです。

アドラー心理学では「子ども自身が行きたい方向に行けるよう支援すること」を大切に考えます。

親が子供を導かなければという「縦の関係」からは、「子供を育てる」と言う感覚になってしまいますが、「横の関係」からは、子どもと対等の関係で「つきあう」という感覚になります。

子どもを諭し、言うことを聞かせるのではなく、自分の友人に話すよう話しかけてみることです。

課題の分離を徹底する

課題の分離」とは、自分の課題と他人の課題を分けて考え、他人の課題に介入しない、というものでした。

子供が勉強しないと、ついついガミガミいってしまいますが、勉強をすることは、他人である子供の課題に他なりません。子供は親に対して反発するだけです。

まして思春期の子供は、なおさらです。

多少心配でも、子供の課題は子供に委ね、親は、「横の関係」にたって勇気づけを行ってあげるのにとどめるべきでしょう。

アドラー心理学による思春期の子供への対応

横の関係」を築き、「課題の分離」を徹底していても、子供が不適切な行動をとってしまうことはあります。

アドラー心理学では、人間が不適切な行動をするのは、適切な方法で目標を達成するという勇気を失っているからだと考えます。

不適切な行動をとる子供は、適切な方法で家族や学校などで自分の居場所を見つけられなかったり、仲間に入れず、「勇気をくじかれた」状態と言えます。

アドラー心理学では、「人間の行動にはすべて目的がある」と考えています。

ですから、不適切な行動にしても、その目的があり、それを知ることで対応方法を考えるヒントにすることができます。

ここで不適切な行動の背後にある目的を見て行きましょう。

不適切な行動の目的

  1.  賞賛を求める。「ねぇ、ほめて、ほめて」
  2.  注目を集める。「ほめてもらえないなら、叱られてみよう」
  3.  権力闘争をしかける。「お前なんかには負けないぞ」
  4.  復讐する。「勝てないなら、せめて傷つけてやる」
  5.  無気力を誇示する。「期待しないで、放っておいてくれ」

賞賛を求める段階は、他人の賞賛を求めたいという欲求が働いています。
アドラー心理学では、ほめることは、縦の関係から来るものと定義されますので、子供を、相対的な優劣で評価するのでなく、子供の行為、とりわけ他者への貢献に焦点をあて、その行動を褒めると良いとされています。

注目を集める段階では、不適切な行動を咎めるのでなく、適切な行動に対して賞賛等を通じて注目すると良いでしょう。不適切な行動な行動を見過ごすだけでは、子供は次の段階に進んでしまいます。

権力闘争の段階では、子供がいろいろと親を腹立たせることをしてきます。
この段階では、親は、絶対に子供の喧嘩を買わないことが良いとされています。
感情的でなく、対等の関係にたって冷静な対応が求められます。

復讐する段階になると、親は、残念ながら、適切な行動にも、不適切な行動にも着目する余裕がなくなります。また、子供も、親からのメッセージがどのようなものであっても、受け入れる素地がありません。親と子供の間を繋ぎ、良好な関係を保てる第三者の介入が必要です。

無気力を誇示する段階になると、親も「この子はもう駄目だ」と絶望してしまいがちです。
この段階の子供に対しては「課題の分離」を行ったうえで見守って時期を待つしかありません。良好な関係を保てる第三者でも介入が難しくなりますので、必ず専門家へ相談するようにしてください。

まとめ

ここまでご覧くださり、ありがとうございます。
今回の記事では、以下の点についてご紹介しました。

思春期の子供を持つ親の心労は、非常に大きいものがあります。
是非、今回の記事を参考に、お子さんと良好な関係を築いてみてください。

この段階を超えると、お子さんも落ち着きを示し、とても頼もしい存在になってきますよ。

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