最近よく聞く「叱らない子育て」。
アドラー心理学に基づいた育児法ですが、中には誤った解釈をし、子どもを好き勝手させている親も見受けられます。
「公園で、自分の子どもがお友達のおもちゃを取り上げて泣かせてしまっていても、親は見て見ぬふりでママ友とのお喋りに夢中」
「病院や電車内、外食先で子どもが走り回っていたり大声で叫んでいても親は知らん顔」など。
このような場面で子供を叱らない親は、「叱らない子育て」を間違って認識しているかもしれません。
そこで今回は、正しい「叱らない子育て」のことについて、正しく学んでいきたいと思います。
目次
叱らない子育てとは
以前は「叱る子育て」が主流でした。
「叱る」とは、「子どもを正しい方向に導くため、注意をすること」です。
今までは、ほとんどの人が厳しく叱られながら育ってきたのではないでしょうか。
自身が叱られながら育ったために、「子どもは叱って育てるものだ」と当たり前のように思ってきたと思います。
ですが、時代の変化とともに「叱っても子供が思い通りになるわけではない」と叱る子育てに疑問を感じていた親が増えてきたように感じます。
そこで、叱らなくても「子どもを正しい方向に導くため、注意をすること」ができたらいいのでは、と考えられるようになりました。
つまり「叱らない子育て」とは、「叱る」ことをすることなく子どもを正しい方向に導くということを言います。
「放任」と「叱らない」
「叱らない子育て」に大切なのは、子どもに対して尊敬し、信頼し、共感してあげることだと言われています。
- 尊敬とは、相手の人格や業績を認め、憧れ敬うこと。
- 信頼とは、信じて頼りにすること。
- 共感とは、他人の感情や経験を、あたかも自分のことのように考え、感じ、理解すること。
子どもを一人の人間として、対等な立場で接することが「叱らない子育て」です。
しかし、中には「放任」イコール「叱らない子育て」だと勘違いし、誤って認識している親がるのも現実です。
一方放任とは、干渉せずに放っておくことです。
「叱らない子育て」なのだから、子どもが何をしても叱らない親がいるのです。
子ども同士のおもちゃの取り合いや、他人に迷惑をかけている状況など、何をしても叱らないのはおかしなことです。
「叱らない」とは、子どもを好き勝手にさせて、放置しておくことではなく、むやみやたらに怒鳴ったり、大声を出したりしないということです。
子どもが危険なことをした時や、他人に迷惑をかけたときなど、叱るのではなく、分かってもらうために話し合うことが大切なのです。
「叱る」「叱らない」を超える勇気づける子育て
アドラー心理学では、「心理面」「行動面」を目標にして子育てをします。
この2つの目標に向かって助けてあげることを「勇気づけ」といいます。
大人も子供も対等だと考えているアドラー心理学は、何歳の子どもに対しても有効です。
2語が話せるようになるまでは、何度も教えてあげても、何度も忘れてしまいます。
忘れてしまっても怒らず、何度も教えてあげることが大切です。たくさん話しかけてあげ、スキンシップを心がけてください。
2語が話せるようになったら、だんだんと言葉で伝えようとし、記憶する力が身に付くようになりますが、まだまだ親が何度でも教えてあげる必要があります。
この時期も、たくさん話しかけ、たくさん遊んであげましょう。
ただし、先回りして何でもやってあげることはやめましょう。
失敗を覚えることで、身体的にも精神的にも成長することができます。
保育園、小学校に通うようになったら、大人が付きっきりで見ていなくても、子ども同士で遊べるようになります。
やらなければならないことは子どもと約束をしたうえで、ある程度のことは子どもに任せてしまいましょう。
だいたい小学校高学年にもなると、遊んだり一緒に過ごす友人ができます。
多くの時間を過ごし、相手の考えや気持ちを理解し合いながら、大切な存在なのだと分かるようになります。
この時期は、友人との時間を大切にしてあげましょう。
子どもが自分の力で得る経験や時間を尊重してあげてください。
自立するためには、子どもが自身で考え、経験し、自分には力があるのだと感じていなくてはいけません。
子どもが自立していく手伝いをしてあげることが、「勇気づけ」に繋がっているのです。
まとめ
- 「叱らない子育て」を誤って認識することは危険
- 「放任」と「叱らない子育て」は全くの別物である
- 子どもに勇気を与える子育てを心がける
「放任」と「叱らない子育て」は、一見同じように見えますが、実は全く違うものです。
叱らない子育ては、日ごろから子どもとコミュニケーションを図り、親子間の信頼関係を大切にした子育てで、放任は子どもを放置し、無関心でいる子育てとなってしまいます。
「放任」と「叱らない子育て」の違いを親がしっかりと学び、子どもを正しい方向へ導いてあげられる子育てを目指しましょう。