前回は、幸せの最終目標である共同体感覚の3要素のふたつ自己信頼、他者信頼をお伝えしました。
今回は最後の所属感(貢献感)と言われるものは何か、どうすれば所属感がもてるのか
一緒に考えていきましょう。
目次
所属感(貢献感)とは
私は役に立てる人間だという感覚です。私は、この共同体にいていいんだ、必要とされている、そして役に立つことができるという感覚です。
アドラー心理学を解説した著書『嫌われる勇気』では、他者貢献は、自己犠牲ではなく、貢献することが自分にとって喜びになるものと教えてくれます。
実際の家族の中で所属感とはなにか?どうしたら育てていくことができるのか見ていきましょう。
家族の中で所属感を育てるには
ママが体調悪い時
妊娠中の貴方が体調悪くて横になっています。3歳の上の子は、ママと遊びたくてたまりません。
「ママ、遊ぼうよ!」
「ごめんね。ママ具合が悪くて遊んであげられないの。パパに遊んでもらって!」
そしてパパにも貴方は言います。
「パパ、ごめんね。家事ができなくて。申し訳ないけど○○と遊んであげて」
と夫に頼みます。
1度や2度ならこれでしのげるけど、それが続くと子供も夫もそして貴方もイライラしてきますよね。特に貴方は体調不良と家族への罪悪感でつらい状態になったりしますよね。
でも、よく考えたら、これは貴方一人で家族という共同体を維持しようと奮闘していることになりませんか?
気を使った貴方のごめんねの言葉が子供に赤ちゃんのせいでママは体調悪くて、私はがまんしなきゃならないと思わせてしまいませんか?
夫にはピンチヒッターじゃないの?いつまでやらせられるの?と不満が蓄積することになるかもしれませんね。
これは、ごめんねという言葉でケアされるだけの子供と貴方をお手伝いするだけの夫を作ってしまっていることになるんです。無意識のうちに上下関係を生んでいるんですね。
誰かが困っていればそれを助けるのは共同体のメンバーすべてです。こんな時は
「○○ちゃんママも遊びたいな。でも体調が悪いから○○ちゃんもパパと一緒にママを助けてくれたら嬉しいな。元気な赤ちゃんが生まれたら一緒に遊べると嬉しいな。」と言って、子供の貢献感を刺激します。
「ママ大丈夫?私パパのお手伝いするよ。」など気遣ってくれたり、助けてくれた時は
「ありがとう。うれしい。」を言います。
夫にも
「パパ、私の体調が悪い間、助けてくれたらうれしいな。」と言いましょう。
「できなくて、ごめん。」ではなくて、お互いが主体的に助け合う夫婦像を作って
いきましょう。これが勇気づけというアプローチです。
勇気づけとは、「貴方にはできることがある。」ということを伝えることです。そして相手を信頼することでできることを増やしていくことができます。
子供の発達に従い、自分にもできることがあるということを伝えることは、子供の自信を育て、また貢献感を育てることに繋がります。
子供が失敗したとき
子供が食事中、水をうっかりこぼしてしまった。
「なにしてるの?前向いて 食べないからよ。」と言ってませんか?
こんな時は、「こぼれたね。どうする?」と聞き、子供が
「拭く。」と答えれば、自分で雑巾で拭いてもらいます。
わからない時は、方法を教え一緒にやります。
自分で解決策を考え、対処できた自分は失敗しても大丈夫という気持ちを育てます。自分は共同体でやることがあると思えるようになります。
娘が貢献感を示してくれた時
私が3番目の子を出産した時、病院に夫と上の子たちが面会にきてくれました。ひとしきり話した後、帰ろうとしたので、
「おかあさん、寂しいから、もう少しいて。」と幼稚園になったばかりの娘に言いましたら、娘はうなずいて私の手を握ってくれました。
微笑ましくて心の中で笑ってしまいましたが、娘が役にたとうとしている気持ちだったんだなと思います。子供にもよりますが、親がゆっくり、待ちさえすれば、早ければ2歳半くらいから自分で考え、対応しようとする姿勢が芽生えるようです。
子供扱いせず、勇気づけを行い、親が頼るという姿勢を示すことで子供の貢献感を育てることができると思います。
まとめ
- 所属感(貢献感)とは
共同体の中で私は役にたてる人間であるという感覚 - 家族で所属感を育てるには
家族は主体的に助け合うもの。こどもを信頼し、勇気づけ
感謝を伝えることで貢献感を育てることができる。
子供が失敗したときも自信と貢献感を育てるチャンス
自己信頼、他者信頼、所属感は循環しているのがわかりました。楽しく、少し客観的な姿勢を意識し、子供を未来の大人として育てていきましょう。